「ユーロリーグ観戦1」
アナウンサー:松本圭祐
成田空港からイスタンブール・アタトュルク国際空港まで、直行便でおよそ13時間。
まずはF4のFAN ZONEイベントへ!会場から車で15分ほどの「マーマラフォーラム」というショッピングセンターへ向かいます。
イスタンブールでは「ドルムシュ」という小さな乗り合いバスがいたるところに走っています。この便はどうやら目的のショッピングセンターへ行くらしいので、乗ってみます!(聞いていた通り英語はほぼ通じません)運賃は1人2リラくらい(約60円)。2016年にはイスタンブール国際空港でテロがありましたが、ショッピングモールや駅の入り口では必ず荷物検査があり、金属探知機を通ります。
ショッピングモールに入るとイスタンブールに本拠地を置くバスケットボールチーム「アナドルエフェス」(残念ながら今回のF4には残れませんでした)の広告が!
地元の方の話では、イスタンブールでスポーツといえばバスケットボールとサッカーが人気を二分しているそう。ファンクラブに入るとクリーニングが20%オフになるほか、さまざまな特典が受けられるようです。
FAN ZONE
FAN ZONEです!(遠くにイスタンブールの街並みが見えます)
スポンサー各社が、フリースローコンテスト、フォトコーナーなど、バスケットボールにまつわるさまざまなイベントブースを出展しています。レプリカトロフィーと一緒に写真が撮れるブースもありました。否応なしにテンションがあがります。
こんなブースで実況したい!
その一角で行われていたレジェンドvs地元の子どもたちとのゲーム。…見覚えのある選手が!?
ギリシャの伝説、セオドロス・パパルーカス!快く写真に応じてくれました!
そうこうしているうちに、FAN ZONEの中がだんだん黄色くなってきたような…徐々に地元ファンが集結しはじめたのです。
ショッピングモールの中を、チームの応援歌を歌いながら練り歩くフェネルバフチェのファンたちが。(この日、フェネルバフチェは第2試合に登場するため、まだ試合開始まで6時間以上あります…)
そしていよいよスィナン・エルデン・ドームへ!
いよいよ会場入り!イスタンブール・アタテュルク国際空港からタクシーで15分程度。1万6000人収容のドームです。早速はしゃぐ松本。ここがHome of Gloryだ!
この惑星を代表するバスケットボールのスター。左からテオドシッチ(CSKAモスクワ:レギュラーシーズン2位)、スパヌリス(オリンピアコス:同3位)、ウドー(フェネルバフチェ:同5位)、リュル(レアルマドリード:同1位)。トーナメントを勝ち抜いたこの4チームがトロフィーを争います。
黄色に縦縞のユニフォームが地元イスタンブールのチーム「フェネルバフチェ」。今回唯一レギュラーシーズンの4位以下からF4に進出しました。地元開催での初優勝を狙います。
準決勝 第1試合(CSKAモスクワvsオリンピアコス)
厳重なセキュリティチェックを数回受けて、会場へ入ります。会場周辺では銃を持った機動隊や、軍の兵士らしき人たちが警戒にあたります。
会場に入ってまず目に入ったのが、男女別のムスリムの礼拝用スペースでした。トルコは人口の99%がイスラム教徒という国です。東京オリンピックでも、もちろんこういった配慮が必要ですね。
第一試合開始前から、会場は黄色一色!波乱の予感です。
観客は圧倒的に男性が多く、ものすごい音量の野太い叫び声が響きます。女性が一人で行くのは躊躇われるような、荒々しい雰囲気に満ちています。
地元フェネルバフチェのファンはCSKAに対して大ブーイング。ここ数年、戦闘機撃墜事件に端を発し、トルコとロシアの関係が一時悪化していたことも背景にあるようですが、ブーイングの主たる理由は、昨季ファイナルで、疑惑の判定によりフェネルバフチェが負けてしまったこと。当事者であった選手に対しては、特に大きなブーイングが送られます。
試合は、終盤までCSKAが優位に運びましたが、4Qにスパヌリス(オリンピアコス)が勝負強く3ptを沈め逆転。決勝へ駒を進めました。
・試合残り40秒での負けているチームの2for1
CSKAのテオドシッチがしたプレーが興味深かったです。CSKAが2点負けていて残り40秒。野球で言うと9回表の攻撃だったCSKAが2for1をすることによって、そのポゼッションが8回裏に変わりました。結果、そのポゼッションではミロスが3ショットを得ます。敗れはしましたが、興味深い選択でした。NBAでも今年のファイナル第3戦でカイリー・アービングが似たシチュエーションでなぜ2for1にしなかったの?と話題になってますね。
準決勝 第2試合(レアルマドリードvsフェネルバフチェ)
リュルを中心に数々のスーパースターを擁するレアルマドリードはレギュラーシーズンを1位で勝ち上がった優勝候補の筆頭でした。しかし、イスタンブールの地元ファンの大声援と、インサイドを制圧したウドーの前には及ばず、終始フェネルバフチェがリードしたまま勝利を収めました。
会場内の9割がフェネルバフチェファンという状況。観客の応援は、とにかく手を叩き、大声で歌うスタイル。ヘッドコーチが姿を現せばヘッドコーチの歌を。ある選手が連続得点をすれば、その選手の歌を歌います。また、ファンの目は非常に肥えており、観戦が文化になっていることを感じます。相手チームのオフェンス中は終始ブーイング。その音量は第1試合にも増して凄まじく、ホテルに帰ってもしばらく耳鳴りがやまない夜でした。
adidas next generation tournament(CFBBパリvs BEMAXベオグラード)
ファイナルの日。午前中はF4と同会場で行われたadidas next generation tournamentの決勝戦を観戦。
ヨーロッパ5都市で3~4日間のトーナメントを行うU18カテゴリの大会で、今回はCSKAモスクワやFCバルセロナを下したCFBBパリと、レアルマドリードやフェネルバフチェ、ザルギリスカウナスを下したBEMAXベオグラードが戦います。
ベオグラードはディフェンスで相手を苦しめたものの、パリが終始リードを保ち、優勝を収めました。彼らへの優勝トロフィーやリングの授与式は、この日の夜、ファイナルのハーフタイムに盛大におこなわれ、大観衆から祝福の拍手を受けました。
パリのAyayi選手は来年からゴンザカ大学に進むそうです。ボールがあるところに必ずいるような、勘のいい選手でした。ベオグラードのGoga Bitadze選手はグルジアの出身。プレイスタイルの印象としてはさながら「次のバランチュナス」といった感じ。
パリ、ベオグラードともに選手個々のディフェンス、ディフェンスのローテーションが洗練されており、フィジカルコンタクトに対する意識が感じられました。選手たちが将来次のカテゴリにステップアップしたあとでも活かせるスキルを伸ばす育成システムが組まれているのではないでしょうか。
現在のユーロリーグには、若くしてスターとなった選手もいます。ルカ・ドンチッチ選手(スロベニア出身)は、18歳にしてすでにレアルマドリードのスターターです。かつてのリッキーのような衝撃的なプレーはないものの、堅実なプレーをします。彼のように実力があれば年齢に関わりなくビッグクラブでプレーできるチャンスがヨーロッパにはあります。
若いうちから国を越えて競うことで強化が進み、競争とチャンスがヨーロッパのレベルをどんどん高めている…そんなシステムに驚嘆しました。