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第107回ツール・ド・フランスを終えて(長澤)

2020年9月20日、ツール・ド・フランス第107回大会が終了しました。コロナ禍による2か月遅れの開幕に始まり、最後の最後に想像を絶するドラマで幕を閉じた今大会。私長澤はJ SPORTSで4ステージを実況担当させて頂きました。

スタジオ出演は人生初、しかも第1ステージ実況という大役を仰せつかり相当な緊張状態ではありましたが、解説者やスタッフの皆様はスタートからフィニッシュまでファンアールト並みのアシストをして下さり、私自身も少しずつ楽しみながらフィニッシュを迎えることができました。

人間ドラマが集約されているといわれるロードレース。その中でもこの第107回大会は多くの方の歴史に残るものになったことでしょう。
第20ステージのプリモシュ・ログリッチとタデイ・ポガチャルのコントラストにはあらゆる感情を揺さぶられました。非現実的といわれた57秒差を覆しての総合優勝を手中に収めたポガチャルは歓喜の抱擁。
そのすぐ横で逆転を許したログリッチは白い顔と虚ろな目で呆然と座り込む。漫画であれば陳腐な描写、小説であれば失笑物のストーリー。現実に起きたあまりにも劇的すぎる結末に、私はしばらく絶句して画面を見つめることしか出ませんでした。

翌日には戦後最年少王者を称えながらフィニッシュラインを過ぎたログリッチ。一晩の間にどれほどの苦悩と心の揺れ動きがあったのか。ポディウムで笑みを浮かべながら愛息を抱く彼の姿にもまた強く心を打たれました。

他にも、数々の不運と挫折を経てついに念願の総合表彰台に上がったリッチー・ポート、最終日も勝利して文句なしでペーター・サガンの8度目のマイヨ・ヴェールを阻止したサム・ベネット、次世代の到来を予兆させたサンウェブとマルク・ヒルシの躍進なども、歴史的な今大会に花を添えました。

私自身、ロードレースファンが今後も語り継ぐであろう今大会に携われたことはこれ以上ない幸せです。今後もこのような美しくも残酷なロードレースを堪能しつつ、少しでもその魅力を多くの方に届けられるよう尽力していきたいと思います。

Vive Le Tour!!

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長澤洋明アナウンサー