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WBC実況担当しました(北野)

熱戦が続く第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)。
J SPORTSでも連日中継しており、主にスコアラーとして参加させていただいておりますが、今回は実況も担当させていただきました。

私が弊社に入ったのは2017年3月。最初の仕事は第4回WBCのスコアラーでした。
当時は「いつかは自分もWBC実況の放送席に…」とイメージする余裕もなく、あるとしてもきっと遠い未来の話なんだろうなと思っていた節がありましたが、まさか次のWBCで実況の機会が巡ってくるとは…。ありがたい話です。

ちなみに皆さんのWBCの思い出はなんでしょうか。侍ジャパンの試合だけを切り取っても名場面ばかりで選べないですよね。
私が一番印象に残っているのは東京ドームで現地観戦した2017年大会です。
この頃はスコアラーもやりつつ、1次ラウンドの2試合を東京ドームのライトスタンドから声を枯らして応援していました。
ちょうど大学生と社会人の中間くらいの時期ですね。そりゃWBC実況のイメージも出来んわ…。

今回担当したのはプールDのプエルトリコ対ニカラグアの試合でした。
プエルトリコはWBC2大会連続準優勝中の強豪国。
2013年大会では準決勝で侍ジャパンの3連覇を阻止した相手としても知られていますね。
今大会では昨シーズン限りで現役を引退した、プエルトリコが誇るレジェンドキャッチャーのヤディアー・モリーナが監督に就任したことでも注目されています。
また、横浜DeNAのネフタリ・ソト選手が代表に選出されているので、気にかけている日本のファンも多いのではないでしょうか。

一方のニカラグア。正直「どこ…?」というレベルで知らないことが多すぎます。
中米に位置するニカラグアは人口700万人にも満たない程度の小さな国。面積は北海道と九州を足したくらい。
野球は国内で最も人気のあるスポーツで、今大会がWBC本大会初出場です。

ニカラグア出身のメジャーリーガーで最も有名なのはデニス・マルティネス投手。
ニカラグア出身初のメジャーリーガーで、1991年には完全試合も達成しています。
MLB通算245勝は、ラテンアメリカの選手としては歴代2位の勝利数です(1位はバートロ・コロン投手)。
現役選手でも、現在ヤンキースの中継ぎとして活躍しているジョナサン・ロアイシガ投手などがいます。

過去の実績や実力を考えるとプエルトリコが優勢との見方が大半でしたが、直前の練習試合でプエルトリコは大敗。
一方のニカラグアはマックス・シャーザー投手が先発したメッツとの練習試合に2対0で勝利するなど順調な仕上がり具合を見せます。
何が起こるか分からない短期決戦、ニカラグアのアップセットへの期待もわずかに抱きながら本番の時を迎えます。

試合は両先発投手の好投、さらには好守備も光り、中盤までは締まったゲーム展開となります。
しかし、さすがはプエルトリコ。中盤に一気呵成に畳みかける攻撃を見せリードを広げると、投手陣も安定した投球を見せ、9対1でプエルトリコが勝利しました。

今大会のプエルトリコはカルロス・コレア選手の出場辞退や、何と言ってもモリーナ監督の引退により、打線の中心を担える存在がいないとも言われていましたが、ここというところで見せる集中力はさすがでした。
キャプテンのフランシスコ・リンドーア選手の先頭に立ってチームを引っ張る姿勢も素敵でしたね。
これを書いている時点でプエルトリコはプールDの2位となり準々決勝進出決定!今回こそ「3度目の正直」で悲願の初優勝となるでしょうか。

敗れたニカラグアも、点差ほど悪い印象はありませんでした。
先発したカルロス・ロドリゲス投手は4回1失点の好投。
今シーズンはミルウォーキー・ブルワーズ傘下でプレーするそうで、数年後にはメジャーのマウンドで見られるかもしれません。
また、ドミニカ共和国戦で好投したデュケ・エベルト投手は、そのピッチングが評価されて、直後にデトロイト・タイガースとマイナー契約を結んだという報道もありました。
なんとも夢のある話です。

ニカラグアは残念ながらプールD最下位となり、次回大会は再び予選からとなりますが、また本大会に戻ってきてほしいですね。
今年のWBCもいよいよ終盤戦。残りはスコアラーとして、私も全力で走り抜けたいと思います。
そして侍ジャパンが、なにがなんでも世界一奪還を成し遂げられるよう、全力で応援しましょう!

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北野文啓アナウンサー