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マニラ滞在ワールドカップ観戦記 第1弾(松本)

Sports Zone松本圭祐です。
FIBAワールドカップ2023の大会初日から最終日までマニラに滞在し、リトアニア代表の試合を中心に、28試合を観戦しました。

第1弾として、僕がフォローしているリトアニア代表の今大会の戦いぶりについてリポートします。
僕がどのようにしてリトアニアを好きになり、どんなところが好きかは後日公開予定。
本記事では今大会のことを中心にお話しします。

リトアニア代表にはどんな選手がいるの?
今回代表に選出された選手については、実況資料風の情報を公開したのでぜひご覧ください。

今大会はケガ等の理由で有力選手の代表辞退が相次ぎました。
主力の一人と目されるドマンタス・サボニス(サクラメントキングス)をはじめ、ルーカス・レカビチュス(ジャルギリス)、マリウス・グリゴニス(パナシナイコス)、エドガラス・ウラノバス(ジャルギリス)、ロカス・ギエドライティス(ツルヴェナ・ズヴェズダ)、アルナス・ブッケビチュス(ジャルギリス)・・・。
6月27日発表のFIBAパワーランキングVol.1では、リトアニアは日本(第14位)よりひとつ下の第15位。
下馬評は決して高くない評価でした。
https://www.fiba.basketball/basketballworldcup/2023/news/fiba-basketball-world-cup-2023-power-rankings-volume-one-who-are-the-favorites

大会初日にマニラ入りした僕は、初戦から応援団に合流。
2006年に日本で知り合ったリトアニア応援団のリーダー、セクラと再会。
彼と会うのは2019年ワールドカップ以来です。
彼は世界中で行われる国際試合に大きな太鼓と国旗を持って駆けつけ、リトアニアが勝っても負けても応援に全てを捧げる魂の男です。

1次ラウンド
今大会のリトアニアはチーム状況に不安があったとはいえ、まず1次ラウンドは大会前の目論見通り順当な勝ち上がりでした。

リトアニア93-エジプト67
リトアニア96-メキシコ66
リトアニア91-モンテネグロ71

ニコラ・ブーチェビッチ(シカゴ・ブルズ)擁するモンテネグロ戦は、少し心配はあったものの、難なくクリア。

代表選手との交流会
1次ラウンド終了の翌日には、アリーナが隣接する巨大商業施設モールオブアジア(MOA)付近の某所にて、代表選手とリトアニア代表ファンとの交流会があることを、応援団の仲間ジュナスが教えてくれました。
今風の言い方をすれば、ミート&グリート、ミーグリ!

選手たちがファンからの大きなコールに出迎えられて入場。
その後、応援団長セクラやヘッドコーチのスピーチ(リトアニア語で行われたので、詳細はよくわかりませんでしたが…)、サイン・写真撮影などが行われました。

いつもテレビで見ていた人たちが眼前に現れて、夢のような時間。
この人たちって実在したんですね。
選手のみなさんは神対応でサインや写真に応じてくれて、前よりももっと好きになりました。
チームの大黒柱ヨナス・バランチュナスはひときわ多くのファンに囲まれていて、直接話す時間がなかったのが心残りですが、次のチャンスが楽しみです。

2次ラウンド
リトアニア92-ギリシャ67
リトアニア110-アメリカ104

2次ラウンド初戦は、この後の戦いを考えると必勝だったギリシャ戦。
リトアニアファンにちらつくのは2017年のユーロバスケットという大舞台のラウンド16でまさかの敗戦を喫した相手だということ。
前半を4点ビハインドで終え不安が過ぎるも、後半は3ポイントシュートで圧倒し、後半のスコアは53-24。鮮やかに逆転勝利。
試合後は敵味方関係なく友人になります。

ギリシャ戦の勝利により準々決勝進出を決め、2次ラウンド最終戦のアメリカ戦を迎えます。
そう、今大会のベストゲーム。試合序盤からリトアニアの3ポイントシュートが面白いように決まり、終わってみれば決定率は56%、出場選手のうち9人が1本以上の3ポイントシュートを成功させたという結果に。
今後も語り継がれるヴァイダス・カリニャウスカス(BCウルブズ・リトアニアLKL )がオースティン・リーヴス(ロサンゼルスレイカーズ)を粉砕したあの場面!

アテネ五輪以来のアメリカ撃破に湧くマニラ某所の酒場。
スマホの電池が切れていたので場所がどこかわかりません。
タクシーで一緒に行った先は、ブルゴス通りと言っていたような気もするし、マカティと言っていた気もします。とにかく良い夜でした。

ファイナルフェーズ
準々決勝は、負ければ今大会でのパリ五輪の出場権獲得が消滅する試合でした。
リトアニア68-セルビア87

グループ1位で準々決勝に進んだリトアニアはセルビアにあっけなく敗れます。
戦術がハマったアメリカ戦とは打って変わってターンオーバーからのイージーバスケットでの失点が多発。
頼みの3ポイントシュートもアメリカ戦ほど決まらず。
試合後は悔し泣きで観客席にうずくまり、立ち上がることすら出来ない大男が何人もいました。
この様子の写真はつらくて撮れませんでした。
敗戦の感想は、思い出したくもないです。
仲間たちと別れたあと、言いようのない感情に襲われ、1日を終わらせたくなくて、コンビニで買って飲んだビールの味は苦かったです。

5-8位順位決定戦
リトアニア100-スロベニア84

失意の中迎えた順位決定戦初戦は、東京五輪の世界最終予選(OQT)、ユーロバスケット2022とビッグゲームで連敗続きの因縁のスロベニア。
同じく今大会でのパリ五輪出場権を逃しているスロベニアでしたが、順位決定戦にもかかわらずルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)は37分もプレー。
気迫あふれる姿でチームを牽引し、リトアニアファンはどんなにリードしてもリードしている気持ちになれない試合でした。
アメリカから帰化したマイク・トビー(ツルヴェナ・ズヴェズダ)も、213cmの身長ながら効率的に3ポイントシュートを決める怖い選手でした。
試合後にリトアニア応援席に向かってドンチッチがなぜか2,3歩踏み出してきたのは何か言いたいことがあったのか今も謎です。
きっと、健闘をたたえ合いたかったのでしょう。

5位順位決定戦
リトアニア63-ラトビア98

最終戦である5位決定戦では今大会のシンデレラチーム、バルト三国の隣国ラトビアと対戦。
ラトビアはヨーロッパの厚い壁をようやく破ってワールドカップ初出場。
さらに、優勝候補の一角と目されたスペインを破って準々決勝まで進出しました。

リトアニアとラトビアは隣国ではありますが、言語は通じません。
ただ、自分たちは兄弟のようなものという意識が彼らにはあるようで、大会中も、互いの国を応援しあってこの日を迎えました。

試合はラトビアの出場選手11名全員が得点。
アルトゥーラス・ジャガース(大会後にフェネルバフチェと契約、23-24シーズンはレンタル移籍によりBCウルブズ・リトアニアLKL)は大会新記録となる1試合17アシストをマーク。
勢いに乗るラトビアが勝利。リトアニアファンにとっては傷心の終戦となりました。

総括
パリ五輪出場権を逃し、順位決定戦ではラトビアにあえなく敗戦。
6位という結果は、リトアニアにとって決して良い結果とは言えません。

しかし、有力選手の辞退が続出したことを考えれば、若手への世代交代と、インサイド偏重からの脱却がみられた戦術は、大会を通じたひとつの収穫であったと思います。
4アウト1インで内外のバランスが取れたオフェンスや、3ポイントシュートを多用した戦い方は前回大会との大きな変化でした。

そして、僕が今大会のMVPに選びたいのはタダス・セデケルスキス(サスキ・バスコニア)です。
ニコラ・ブーチェビッチからルカ・ドンチッチまで、相手の主力選手のディフェンスを担い、その献身的なプレーが最高でした。

リトアニアはパリ五輪出場を目指し、2024年7月に開催されるOQTに進むことになります。
OQTの組み合わせと開催地は2023年9月末時点で発表されていませんが、OQT出場権を獲得した24カ国のうち4カ国しか出場権を得られない熾烈で過酷な戦いです。
この戦いからも引き続き目が離せません。

リトアニア応援団の仲間たちとは、パリでの再会を誓いました。
その時、世界がもっと平和になっていることを願って。

※観戦記第2弾はこちら

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松本圭祐アナウンサー