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【レビュー】2009年WBC 日本vsキューバ(菱沼)

皆さんこんにちは!
今回は先日J SPORTSで放送された、2009年のWBCのキューバ戦を振り返ります。
この試合から数年後の振り返り放送で(収録は2017年より少し前かと思われます)、弊社代表谷口廣明アナの実況と、解説に当時の外野守備・走塁コーチで1塁コーチャーを務められていた緒方耕一さんでお送りされていました。

私もスコアシートを書きながらじっくりと見させていただきました。

この第2回大会では大会方式が変わり、日本と韓国が最終的に5回対戦するなど、同一チームとの対戦が多くなる方式でした。
この大会で日本はキューバとも2回対戦することになるのですが、そのうちの1試合目、第2ラウンド1組のGame.1を振り返ります。
(当時の選手は敬称略で失礼します)

キーワードは、「失敗の質」とも言えるでしょうか。

①チャップマンが先発、日本の対抗策
キューバの先発ピッチャーは現在ニューヨーク・ヤンキースでクローザーを務めるチャップマンでした。
チャップマンは160キロを超えるストレートを持っていて、当時日本のメディアでも、たくさん報道されていたことを覚えています。
なかなか簡単に打ち崩せないだろうと踏んだ日本打線は、ファールで粘りました。
驚くべきは、3回途中まで50球を投げたチャップマンに対して、喫した空振りはわずか1つだったという事です。
また、日本はチャップマンを揺さぶろうと、足を絡めた積極的な攻撃を試みていました。
初回に青木が盗塁を決めましたが、2回は小笠原、内川ともに牽制でアウトになります。
前の2008年シーズンに小笠原は盗塁なし、内川は2個と決して足が速くない選手が、2連続で牽制アウトになってしまい、流れが悪くなりそうですが、放送で緒方耕一さんは「よくないことだが、足の速くない選手がセーフになるためには、いいスタートを切るしかないので仕方がない」とおっしゃっていました。
アウトの中にも、一定の納得感のようなものがあったのではないかと思いました。

②日本の2エラー、キューバの「記録に残らない」エラー
この試合は、この大会でアメリカに渡り最初の試合でした。
そして試合はデーゲームで、会場のペトコパークは、ライトの選手への日差しが最も厳しくなるロケーションでした。
日本は、3回の守備で、なんとイチローと城島がファールフライを落とし、エラー2つを記録します。ご存知名手のお二人ですから、とても驚きました。
そして、その日光はキューバにも襲い掛かりました。
4回の表、城島が放ったライトへのフライは、ライトのデスパイネ(現ソフトバック)が打球を見失い、フェアゾーンボールは落ち2塁打となりました。
これがきっかけで日本は追加点を挙げます。

両チームともに太陽に翻弄された試合でもあったわけですが、両チームで差があったのは、「サングラス」の着用です。
日本の選手はほとんどがサングラスをかけていましたが、デスパイネを含むキューバの選手ほとんどは、サングラスをしておりませんでした。
城島への2塁打を許した後、キューバのスタッフが慌ててライトのデスパイネにサングラスを持って行ったのは印象的なシーンでした。

この試合は結果的には日本がキューバに快勝する試合ですが、一方で記録に残る牽制アウトやエラーという「ミス」もありました。
しかし、世界大会に出場する選手たちでもミスが起きる事も勿論あり、その前段階の準備が勝負を分けるのではないかと学ぶことができた試合でした。
準備ができているかどうかで、冒頭申し上げた「失敗の質」が上がり、次のプレーや流れに繋がるのではないかと感じました。

よく日本は「スモール・ベースボール」と言われます。
本来の意味はバントや機動力でかき回すこと野球ですが、それだけでなく、小さなことにも気を配り、細かな隙を見逃さないスモールさが、日本野球にはあると感じました。

私も「スモールさ」を大切に、日々実況への造詣を深めていきたいと思います。

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菱沼洲斗アナウンサー