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【レビュー】2013年サイクルロードレース パリ~ルーベ(長澤)

各媒体で過去の名勝負、名シーンを堪能できる近頃ですが、今回はサイクルロードレースから2013年パリ~ルーベをレビューしたいと思います。

パリ~ルーベといえば「クラシックの女王」「北の地獄」とも称される過酷なレース。途中にはロードバイクで走行できるとは思えない凸凹の石畳が待ち構え、コースの全長は250km超、レース時間は6時間にも迫ります。

2013年時点での優勝候補は前年優勝のトム・ボーネンと2度の優勝経験があるファビアン・カンチェラーラ。しかしボーネンは前週のレースで落車し未出走。よって自然な成り行きで、このパリ~ルーベは「ストップ・ザ・カンチェラーラ」が他チームやメディアの標語となりました。個人タイムトライアル世界チャンピオンでもあるこの「スパルタクス」に対して他の有力チームは、個人の力ではいかんともし難い差があると判断し、有力選手を入れ替わりで逃げに乗せるなどしてチーム力で対抗していきました。

重要な勝負所といわれる5つ星の石畳、モン=アン=ペヴェルを抜けた時点で先頭集団は15人ほど。どこでカンチェラーラがアタックするかと選手、観客、メディアが注視する中で、当の本人はまさかのスローダウン。しかもチームカーと話すなど明らかに異変が…。色めき立つ一同。数日前の落車の影響か?暑さによる消耗か?それともハンガーノック?そんな疑念が渦巻く中、優勝を狙うライバル勢はこれ幸いとタイム差を開きにかかります。

こうなると優勝の行方は誰の手に…と実況・解説や視聴者が頭を切り替えたその瞬間。画面には後続を引きちぎり先頭集団に追いつくカンチェラーラの姿が。どんなに考えても理解に苦しむ光景に一同また困惑。後のインタビューでは「みんなが僕をマークしてくるからどうしたらいいか相談に行ったんだ」と語ったカンチェですが、誰も予想しえない形で包囲網をぶち破りました。

さらに最後の5つ星の石畳、カルフール=ド=ラルブルでは対抗馬の二人が観客と接触するというアクシデントが発生。運もカンチェラーラに味方します。最後のゴール前は、のちに世界屈指の石畳スペシャリストとして名を馳せることになる若きセップ・ヴァンマルクとの1対1。スプリントではカンチェ不利との見方もある中で、見事に差し切り3度目の優勝を果たしました。

どんなに実力があっても他チームにマークされては勝てないというのがロードレース界の定説ですが、2013年のパリ~ルーベは、全方位から集まった目を欺き徹底マークを逆手にとったような、常識では測れない勝利でした。数あるカンチェラーラの伝説のレースの一つです。

他方、このセンセーショナルな優勝と同じくらい注目したいのが、オメガファルマ・クイックステップのチーム力です。絶対王者ボーネンが不在の中にあって序盤から積極的に動き、人数が絞られたレース後半では最も多くの選手を先頭集団に残しました。しかしそこからはシャバネルがパンクで後退。最終盤の最後の4人にスティバルとヴァンデンベルフを残すものの相次いで観客と接触し脱落。ルフェーブルGMにとってはまさに天国から地獄。しかし、そんな呪われているとしか思えない状況でも、ニキ・テルプストラがしっかり3位に入り表彰台に上がりました。仮にもしこれらのアクシデントがなかったら…と考えると、改めてレースマネジメントを含めたチーム力の高さを思い知らされます。そのチーム力は現在もなおドゥクーニンク・クイックステップで継続中。現在の情勢下において、資金繰りが相当厳しいという話も耳にしますが、何とか乗り切ってまたあの強いウルフパックを見せてくれると期待したいです。

今年のUCIスケジュールも発表されましたし、プロトンは必ずやってくると信じて、私たちも楽しみに待ちたいですね。

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長澤洋明アナウンサー