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【レビュー】2010年度 花園決勝 桐蔭学園vs東福岡(長澤)

史上最多55校が出場した第90回記念大会の花園・決勝戦は前年と同じ顔合わせとなりました。悲願の初優勝を目指す桐蔭学園は、昨ワールドカップ5トライの松島幸太朗をはじめ、今年2月に退路を断ってサンウルブズに加入した小倉順平や、今季で引退を表明したNECの竹中祥、リコーの濱野大輔ら、バックスに多くのタレントを揃えます。一方の東福岡はこの時点で公式戦56連勝の絶対王者。連覇を狙う布陣はクボタの北川賢吾やヤマハの西内勇人を筆頭に、パナソニックの平野翔平がベンチに控えるほどの強力FW陣。BKはサンウルブズの布巻峻介がバックスの中心となり、7人制日本代表の藤田慶和は当時2年生にして既にエースランナーでした。

試合は、FWの力では圧倒するもコンビネーションの精度があと一歩な東福岡に対し、桐蔭はWTB竹中とFB松島が躍動します。SO小倉とCTB西橋誠人が中央突破して相手を収縮させてから、圧倒的なスピードを誇る2人のエースが決めるという攻撃の形が次々にハマりました。東福岡ディフェンスを混乱に陥れ、前半だけで4トライ(うち竹中が2トライ、松島が1トライ)を奪います。

後半開始早々に竹中がこの日3トライ目を奪って31-10としたところで試合の趨勢は見えたかなと思いましたが、しかしここから王者の底力が発揮されます。FWの強力なドライビングモールに加え、布巻のフィジカルやFB藤田の高いラン能力が、桐蔭ディフェンスに凄まじいプレッシャーを与えます。徐々に疲労の色を見せる桐蔭に対し、北川やキャプテンのLO水上彰太らフィジカルで勝る東福岡FW陣が問答無用の突進を見せ、残り5分までに1トライ差。試合終了間際にも藤田のビッグゲインで敵陣に入りFWのフィジカルでゴール前まで迫ると、最後は#22大政亮がポスト中央にトライし同点に。

結局このまま試合終了となり、史上2度目の両校優勝となりました。(特に桐蔭の)選手たちにとっては決して満足のいく結果ではなかったかもしれませんが、見事なBKの展開力で後半途中まで相手を圧倒した桐蔭学園も、点差が離れても諦めず最後まで戦い抜いた東福岡も、ともに優勝に値する素晴らしいチームでした。歴史に残る名勝負だったと思います。この試合を見て特に感じたのは、例年はチーム力、総合力で決勝まで勝ち上がってくるチームが多い中で、この2チームの選手たちの個人の力が際立っていたことです。もちろんチームとして強いのは疑いようがないですが、特にのちに代表キャップを持つ選手のプレーには圧倒的な存在感がありました。今の高校生からそういったものを発掘するのも一つの楽しみかもしれないですね。

ちなみにこの90回大会には、決勝進出以外のチームにもさまざまな選手の名前が…。福岡堅樹(福岡高校)、姫野和樹(春日丘・1年)、松田力也(伏見工)、徳永祥尭(関西学院)など…。今のラグビー界を彩るこの面々も花園を経て世界の舞台に駆け上がっていきました。それから10年が経ち第100回の記念大会となる今年の花園。この100回大会が例年と何も変わることなく行われること、そしてそれが未来の代表選手の、世界への第一歩となることを切に願っています。

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長澤洋明アナウンサー